海外の行政機関や金融機関に提出する書類として、パスポートのコピーに公的な証明を付けたいという場面は少なくありません。

しかし、パスポート原本にはアポスティーユを直接付けられないため、公証役場で写しに認証を受けたうえで外務省や大使館での手続きへ進む必要があり、方法や手数料が分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、公証役場・外務省・大使館それぞれでの手続きの流れや必要書類、費用の目安に加え、行政書士に依頼する場合のメリットや相場まで分かりやすく解説します。

パスポート認証とは?

海外の行政機関や金融機関、教育機関などに書類を提出する際、「本人確認書類として使用するパスポートのコピーが、正式なものであると証明してほしい」と求められることがあります。このような場面で必要となるのが「パスポート認証」です。

パスポート認証とは、パスポートのコピーが原本と相違ないことを記した書面に、申請者本人が公証人の面前で署名したことなどを、公証人や大使館・領事館の担当者が証明する手続きのことを指します。

海外で不動産を購入する場合や、海外の銀行口座を開設する場合、留学先の学校に書類を提出する場合など、さまざまな場面でパスポート認証が求められます。提出先の国や機関によって求められる認証の形式が異なるため、まずはどのような証明が必要とされているのかを確認することが大切です。

パスポート原本にはアポスティーユを付けられない

アポスティーユの取得をご検討の方の中には、パスポートの原本にアポスティーユを直接付けられると思っていらっしゃる方もいらっしゃいますが、パスポートそのものにアポスティーユを付与することはできません。パスポートは日本国政府が発行した公文書ではありますが、外務省がアポスティーユを付与できるのは、日本国内の官公署や公証人が発行・認証した文書に限られます。

パスポートについて第三者機関などへの証明が必要な場合は、後述するとおり、パスポートのコピーを公証人に認証してもらい、その公証人の認証文書に対してアポスティーユを取得するという流れになります。

パスポートのコピーを認証してもらう方法

パスポート原本には直接アポスティーユを付けられないため、実務上は次のような方法でパスポートの証明を行います。パスポート原本にはアポスティーユを付与できませんが、手続き上ではパスポート原本の提示が必要です。

手続きの段階内容
1. パスポートのコピー作成パスポートの写真ページなど、必要なページをコピーします。
2. 公証人による認証公証役場にて、宣言書の認証を行います。コピーが原本と相違ない旨、および申請者本人が面前で宣言書に署名した旨を公証人が認証します。
3. 外務省によるアポスティーユ付与公証人の認証文書に対して、外務省がアポスティーユを付与します。

このように、パスポートの証明が必要な場合は、パスポートのコピーに対する公証人の認証文書を経由して手続きを進めることになります。提出先の国がハーグ条約(アポスティーユ条約)に加盟している場合はアポスティーユで足りますが、加盟していない国の場合は、外務省の証明に加えて、その国の駐日大使館・領事館での認証(領事認証)が必要になることもありますので、提出先に事前に確認しておくことをおすすめします。

認証とアポスティーユの違い

「認証」と「アポスティーユ」は混同されやすい言葉ですが、それぞれ役割が異なります。

項目認証アポスティーユ
証明する内容文書の署名や捺印が本人のものであること、コピーが原本と相違ないことなどその文書に付された公証人や公的機関の署名・印章が真正なものであること
実施する機関公証役場(公証人)、大使館・領事館外務省
単独で完結するか提出先によっては認証のみで完結する場合もあり基本的に、認証済みの文書に対して付与されるもの

つまり、認証は文書の署名の真正性を証明するものであり、アポスティーユはその認証を行った公証人などの権限が正式なものであることを外務省がさらに証明する。という2段階の構成となっています。提出先の国や機関によって、どちらの証明までが必要なのかが異なるため、事前にしっかりと確認しておくことをおすすめいたします。

パスポート認証はどこで受けられる?

パスポートのコピー認証やアポスティーユの取得は、いくつかの窓口で対応しています。それぞれ手続きの内容や取得できる証明の種類が異なりますので、ご自身の提出先や目的に合わせて選んでいただくことが大切です。ここでは、公証役場・外務省・大使館や領事館という3つの窓口について、それぞれの特徴を説明します。

窓口主な役割こんな方におすすめ
公証役場パスポートコピーの認証(私署証書の認証)その後、外務省でアポスティーユを取得したい方(地域によってはワンストップ取得可能)
外務省アポスティーユ・公印確認の付与ハーグ条約加盟国に提出する場合
大使館・領事館提出先国独自の認証・領事認証ハーグ条約非加盟国に提出する場合かつ提出先の指定がある場合

公証役場でパスポート認証を受ける方法

公証役場では、パスポートのコピーが原本と相違ない旨を公証人に認証してもらいます。全国各地の公証役場で手続きが可能ですが、予約制を採用している役場がほとんどですので、まずはお近くの公証役場に問い合わせ手続きをしたい旨を伝え、予約を取得します。

公証役場でのパスポート認証に必要な物

  • 宣言書
  • パスポートコピー
  • パスポート原本

公証役場での認証は、あくまで「コピーが原本と同じである」ということを証明するものです。なので、「宣言書」を作成し、宣言書に「添付のパスポートコピーが原本と相違ない」という旨を記載し、公証人の面前で宣言書に署名をします。その宣言書に対して公証人が認証をしてくれます。

この段階ではアポスティーユは付いていませんので、提出先の国がハーグ条約加盟国であれば、この後さらに外務省でアポスティーユの申請を行う必要があります。

ワンストップサービスを提供している地域では公証役場で認証を受けると同時にアポスティーユまで取得することができます。詳細は下記の記事をご覧ください。

外務省でアポスティーユを取得する方法

外務省では、公証役場で認証を受けた書類に対して、アポスティーユを付与しています。窓口は東京の外務省本省と大阪分室の2か所にありますので、お住まいの地域に応じて選択します。

申請の方法には、窓口へ直接出向く方法と、郵送による方法があります。窓口申請であっても交付は郵送となるため、追跡可能なレターパックなどを用意する必要があります。郵送の場合も、返信用封筒や必要書類を揃えて送付する必要があり、手元に届くまで数日から1週間程度かかることが一般的です。

弊所では、公証人の認証からアポスティーユ取得までワンストップサービスを提供しています。お急ぎの方や手続きに不安がある方はぜひお問い合わせください。

大使館・領事館でパスポート認証を受ける方法

提出先の国がハーグ条約に加盟していない場合には、アポスティーユではなく、その国の在日大使館や領事館による領事認証が必要となります。この場合、まず外務省で公印確認を受けたうえで、該当する国の大使館・領事館へ書類を持参し、認証を受けるという流れが一般的です。

大使館・領事館ごとに受付時間や必要書類、手数料が異なりますので、事前に提出先国の大使館ホームページなどで最新の情報をご確認いただくことをおすすめいたします。また、国によっては領事認証にかかる日数が長くなる場合もございますので、余裕を持ったスケジュールで手続きを進めていただければと思います。

公証役場でのパスポート認証の流れ

公証役場でパスポート認証を受ける際は、事前準備から実際の手続きまで、いくつかの段階を踏むことになります。ここでは、初めて公証役場を利用される方にも分かりやすいよう、順を追ってご説明いたしますね。

必要書類と持ち物

公証役場でパスポート認証を受けるにあたっては、あらかじめ準備しておくべき書類があります。忘れ物があると出直しになってしまうこともありますので、事前に手続きを行う公証役場に確認しておく必要があります。一般的にパスポート認証で必要となる書類は下記のとおりです。

持ち物内容・注意点
パスポート原本コピーを取る元となる原本をご持参ください。有効期限内のものである必要があります。
パスポートのコピー顔写真のページと必要に応じて他のページもコピーしておきます。公証役場の窓口でコピーを取ってもらえる場合もありますが、事前に準備しておくとスムーズです。
提出先が指定する宣言書・申述書「このコピーは原本と相違ない」旨を宣言する書面が必要になる場合が多く、提出先国や機関によって書式が異なることがあります。
認印または実印公証役場によっては押印を求められることがありますので、念のためご持参いただくと安心です。
手数料現金でのお支払いが一般的です。公証役場によりキャッシュレス対応が異なりますので、事前確認をおすすめします。

また、提出先の国や機関によっては、翻訳文の添付を求められるケースがあります。あらかじめ提出先の要件を確認したうえで、必要な書類を漏れなく準備していただくことが大切です。

公証役場での手続きの手順

まず、最寄りの公証役場に事前連絡を入れ、パスポート認証を希望する旨と、認証を受けたい書類の内容を伝えします。多くの公証役場が予約制を採用しているため、事前に電話やメールで確認しておく必要があります。

公証役場から指定された持ち物を準備し、予約日当日に公証役場へ足を運び、以下のような流れで手続きを進めていきます。

当日は、窓口で公証人にパスポート原本を提示し、あわせて準備したコピーや宣言書を提出します。宣言書への署名は、その場で公証人の面前で行います。あらかじめ署名を済ませてしまうと、認証してもらえませんのでご注意ください。詳細は公証役場の指示に従って手続きを進めてください。

手続きが完了すると、認証文が添付された書類一式が発行されます。

認証にかかる手数料の目安

公証役場でのパスポート認証にかかる手数料は、公証人手数料令という法令に基づいて定められています。私署証書の認証にかかる基本的な手数料は、一件あたり12,500円が目安となります。(2026年時点の手数料)法令の改正等により手数料が変更になることがありますので、公証役場に確認してください。

なお、手数料は現金での支払いを基本としている公証役場が多いため、当日は余裕を持った金額をご用意いただくことをおすすめいたします。手続きにかかる時間は書類の内容にもよりますが、予約を取得していった場合には、おおむね30分程度で完了することが多いです。混雑状況によって前後することもありますので、公証役場に確認してください。

行政書士にパスポート認証を依頼できる?

パスポート認証やアポスティーユの取得手続きは、平日の日中に公証役場や外務省、大使館・領事館へ足を運ぶ必要があり、お仕事や育児で忙しい方にとっては大きな負担となることもあります。こうした煩雑な手続きは行政書士に代行を依頼することが可能です。弊所でも代行を行っております。ここでは、行政書士に依頼する場合のメリットや流れ、費用相場について詳しくご説明いたします。

行政書士に依頼するメリット

行政書士にパスポート認証やアポスティーユの取得を依頼する最大のメリットは、手続き経験が豊富な専門家が必要な書類を適切に作成してくれること、用意する書類を適切にアドバイスしてくれることです。

また、依頼してしまえば、書類を行政書士に送りお金を支払うだけなので、ご本人様が平日に何度も役所や大使館へ出向く必要がなくなり、手間と心理的なプレッシャーが大幅に削減できます。

行政書士は書類作成や認証手続きの専門家として、必要書類の準備から各機関への提出、受け取りまでを一括してサポートいたします。特に翻訳文の添付が必要な場合や、提出先の国によって求められる認証の形式が異なる場合など、個別の事情に応じたアドバイスを受けられる点は、心理的にも大きな安心感が得られると思います。

また、平日にお時間を確保することが難しい方や、遠方にお住まいで公証役場や大使館への訪問が困難な方にとっては、郵送でのやり取りに対応してくれる事務所を選ぶことで、来所不要で手続きを完結させられる場合もございます。

依頼から取得までの流れ

行政書士にパスポート認証を依頼する場合の一般的な流れは、次のとおりです。

ステップ内容
1. 相談・見積もり提出先の国や書類の使用目的を伝え、必要な認証の種類や費用について確認します。
2. 必要書類の準備パスポートのコピーや依頼書、委任状など、行政書士から案内された書類を準備します。
3. 書類の提出郵送または来所により、行政書士へ必要書類一式を渡します。
4. 公証役場・外務省・大使館での手続き行政書士が代理で公証役場での認証取得、外務省でのアポスティーユ付与、必要に応じて大使館での領事認証手続きを行います。
5. 書類の受け取り認証済みの書類を郵送または来所にて受け取ります。

依頼者ご自身が行うのは、最初の相談と必要書類の準備、そして最後の受け取りのみというケースがほとんどです。手続きにかかる日数は、公証役場のみで完結する場合は数日程度、外務省でのアポスティーユ取得を含む場合は2週間程度、大使館での領事認証が必要な場合はさらに日数がかかることもございますので、余裕を持ったスケジュールでご依頼いただくことをおすすめいたします。

行政書士に依頼した場合の費用相場

行政書士に依頼する場合の費用は、代行手数料と実費(公証人手数料や外務省での証明手数料など)を合わせた金額となります。代行手数料は事務所によって異なりますが、パスポート認証のみであれば1万円から2万円程度、アポスティーユの取得まで含める場合は2万円から4万円程度が目安となることが多いようです。大使館での領事認証まで必要な場合は、提出先の国や大使館の対応状況によって手数料が変動するため、事前の見積もりで確認されることをおすすめいたします。

これらの費用に加えて、郵送でのやり取りを希望される場合は郵送料が別途かかりますが、平日に何度も出向く時間と労力を考えますと、費用対効果の面でご満足いただける方も多くいらっしゃいます。ご依頼の際は、複数の事務所から見積もりを取り、対応範囲や納期を比較検討されると安心です。

弊所ではアポスティーユ取得代行手続きを行っております。

まとめ|自分に合った認証方法を選ぶポイント

パスポートのコピーを海外で使用するためには、公証役場での認証を受けたうえで外務省のアポスティーユまたは公印確認、さらに提出先国の大使館・領事館の領事認証が必要になる場合があります。提出先の国や機関によって求められる認証の種類が異なるため、事前に必要な手続きを確認することが重要です。

平日に公証役場や外務省、大使館へ足を運ぶ時間が取れない方や、手続きに不安がある方は、行政書士に依頼することでスムーズに取得できます。ご自身の状況に合わせて、最適な方法を選んでいただければと思います。