日本国内の企業に就職して勤める外国人の多くの方がこの技人国ビザを取得していると思います。日本国内の就労ビザの内、最も取得数が多いのも技人国ビザです。
外国人を雇う企業の採用担当者様にも参考になるよう、技人国ビザの申請方法を分かりやすく徹底解説していきます。
技人国ビザの申請方法
外国人を雇うことが決まったら、早速申請に必要となる書類を集めていく必要があります。企業側で集める書類や、外国人本人が集める書類もあります。また、日本で働く外国人が現在日本にいるのか、それとも海外から就労のために日本に呼び寄せるのかによって手続きの流れが変わります。
日本に滞在している外国人が技人国ビザを申請する場合
外国人本人が日本に滞在している場合には、現在留学ビザなど何かしらの在留資格を保有しているはずです。この場合、現在の在留資格から「技人国ビザ」へ「在留資格変更許可申請」をする必要があります。
海外に住む外国人を日本に呼び寄せる場合
外国人が海外に住んでいて、就労のために日本に呼び寄せる場合には「在留資格認定証明書交付申請」手続きを行います。
技人国ビザは誰がどこに申請する?申請先と申請できる人
技人国ビザの申請ができるのは、外国人本人、雇用する企業の職員、取次の届出をしている行政書士、弁護士などになります。
申請先は、居住予定地か受入機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署になります。郵送での申請は受け付けていませんので、窓口に行って申請するか、マイナンバーカードを持っている外国人であればオンライン申請をすることができます。
在留資格取得までの日数はどのくらい?
早ければ1か月程度で認定証明書が発行されるケースもありますが、個々の書類の充足具合と出入国在留管理庁の込み具合によって期間はだいぶ前後します。遅いと証明書が発行されるまで半年かかったケースもあるようです。
出入国在留管理庁のHPでは在留審査の処理期間を公表しています。それによると令和6年1月~3月の技人国ビザ在留資格認定証明書の交付まで平均で58日かかっています。技人国ビザへの在留資格変更も同じくらい時間がかかり55日となっています。
基本的には日本で就労開始する4~5か月位前から書類集めなどを開始して、就業開始日より3か月前までには申請を終わらせるように進めることがおすすめです。
技術・人文知識・国際業務(技人国)ビザの審査基準
技人国ビザを取得するにあたり、審査基準が設けられています。
外国人労働者の審査基準
日本で働く外国人本人の審査基準は以下の通りです。技人国ビザは学歴要件があるため、学士を取得していることを証明する卒業証明書などが必要となりますが、提出する卒業証明書に偽りがないかなども審査されます。
- 学歴(学士号、準学士号、専門士、高度専門士)がある
- 学位がない場合、10年以上の実務経験、国際業務の場合は3年以上の実務経験があり、それを証明する書類がある
- 職歴(技人国の業務をするにあたり、十分な経験があるか)
- 外国人の素行(本国、日本で犯罪歴がないこと、日本で留学していた時期のアルバイトでオーバーワークをしていない等)
雇用主である企業側の審査基準
外国人を雇う企業側にも審査基準があります。中でも業務内容については書面で明確にしておく必要があります。出入国管理局に職務内容を詳しく記した説明書などを付けることをおすすめします。
- 企業規模
- 企業の安定性(雇用の安定性、継続性)
- 業務内容の蓋然性(必要性)と専門性がその外国人に適合しているか
- 外国人の雇用実績
- 企業が過去に入管法に違反していない事
審査基準を満たしているかどうかの審査をするのは入管職員ですので、申請時に提出する書類でこれらの基準を満たしていることを証明し、入管職員が問題ないと判断するに足りる資料を提出する必要があります。
技人国ビザの概要や対応する職種などは下記記事で詳細に解説しています。気になる方は参考にしてみてください。
技術・人文知識・国際業務ビザ申請に必要となる書類
申請時に必要となる書類ですが、雇用する企業の規模によって必要書類が変わります。雇用する会社の規模はカテゴリー1から4までの4段階に分かれており、雇用する企業がどのカテゴリーに分類されるかによって書類が異なってきます。
カテゴリー1は企業規模が大きいと判断され、日本市場に上場している企業などが該当します。2,3と数字が大きくなるに従い、会社規模は小さいと判断され、その分申請時に提出する書類が多くなります。
分類 | 概要 |
---|---|
カテゴリー1 | 日本の証券取引所に上場している企業 保険業を営む相互会社 日本又は外国の国・地方公共団体 独立行政法人 特殊法人・認可法人 日本の国・地方公共団体の公益法人 法人税法別表第1に掲げる公共法人 |
カテゴリー2 | 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人 |
カテゴリー3 | 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く) |
カテゴリー4 | 左のいずれにも該当しない団体・個人 |
カテゴリー1に属する企業の申請時必要書類
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真(縦4cm×横3cm) 6カ月以内に撮影された証明写真
- 返信用封筒(住所を書き、切手を貼った物)
- 上場企業:四季報の写しまたは日本の証券会社に上場していることを証明する文書の写し
- 特殊法人:主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書(コピー)
- 専門学校を卒業した者については、専門士又は高度専門士の証明書
- 派遣契約に基づく就労の場合は雇用契約書、労働条件通知書の写し
カテゴリー2に属する企業の申請時必要書類
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真(縦4cm×横3cm) 6カ月以内に撮影された証明写真
- 返信用封筒(住所を書き、切手を貼った物)
- 前年度の職員の給与所得の源泉徴収票などの法定調書合計票(受付印があるものの写し)
- 在留申請オンラインシステムに係る利用申出承認を受けていることを証明する文書(利用申出に係る承認のお知らせメールなど)
- 専門学校を卒業した者については、専門士又は高度専門士の証明書
- 派遣契約に基づく就労の場合は雇用契約書、労働条件通知書の写し
カテゴリー3に属する企業の申請時必要書類
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真(縦4cm×横3cm) 6カ月以内に撮影された証明写真
- 返信用封筒(住所を書き、切手を貼った物)
- 前年度の職員の給与所得の源泉徴収票などの法定調書合計票(受付印があるものの写し)
- 専門学校を卒業した者については、専門士又は高度専門士の証明書
- 派遣契約に基づく就労の場合は雇用契約書、労働条件通知書の写し
- 雇用契約書など(活動内容を明らかにする資料)
- 履歴書
- 卒業証明書(DOEACC制度の資格保有者は認定証 レベルA,B,Cのみ)
- 「技術」情報処理技術に関する試験または資格の合格証書・資格証書
- 「国際業務」実務経験を証明する文書
- 登記事項証明書
- 会社のパンフレットなど事業内容を明らかにする資料
- 直近年度の決算文書の写し(新規事業の場合は事業計画書)
カテゴリー4に属する企業の申請時必要書類
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真(縦4cm×横3cm) 6カ月以内に撮影された証明写真
- 返信用封筒(住所を書き、切手を貼った物)
- 前年度の職員の給与所得の源泉徴収票などの法定調書合計票(受付印があるものの写し)
- 専門学校を卒業した者については、専門士又は高度専門士の証明書
- 派遣契約に基づく就労の場合は雇用契約書、労働条件通知書の写し
- 雇用契約書など(活動内容を明らかにする資料)
- 履歴書
- 卒業証明書(DOEACC制度の資格保有者は認定証 レベルA,B,Cのみ)
- 「技術」情報処理技術に関する試験または資格の合格証書・資格証書
- 「国際業務」実務経験を証明する文書
- 登記事項証明書
- 会社のパンフレットなど事業内容を明らかにする資料
- 直近年度の決算文書の写し(新規事業の場合は事業計画書)
- 源泉徴収の免除証明書
- 新規事業の場合は給与支払事務所等の開設届書の写し
技人国ビザ申請はオンライン申請可能
出入国管理局に出向いて申請することが一般的ではありますが、オンライン申請も可能です。オンライン申請できる人は、外国人本人、所属機関の職員、取次資格を持つ行政書士、弁護士などです。
外国人本人がオンラインで申請する際にはマイナンバーカードが必要となりますので、マイナンバーカードを保有していない海外在住の方は受け入れ先の企業や取次行政書士に依頼する必要があります。また、スマートフォンからの申請はできないため、パソコンとマイナンバーカードを読み取るICカードリーダーも別途必要となります。
日本に既に居住している方でマイナンバーカードを保有している方であればパソコンやICカードリーダーがあればオンラインで申請することが可能です。
出入国管理局はいつも混雑しているため、窓口で手続きをすると長時間待たされることが多いですが、窓口に行かずに、いつでも申請できるオンライン申請は便利な制度ですね。
在留資格審査が完了した後の流れ
窓口で申請をした場合、はがきや封書で結果の通知が届きます。オンライン申請をした場合には審査完了通知がメールで届きます。
在留資格認定証明書の交付申請をした場合の流れ
在留資格認定証明書の交付申請をした場合で、無事に許可が得られた場合には、申請時に提出した返信用封筒で在留資格認定証明書が送られてきます。
オンライン申請をした方は、申請時に「窓口で受取」を選択した場合には、出入国管理局の窓口まで在留資格認定証明書を受け取りに行きます。申請時に「メールで受取」を選択した場合には、メールで在留資格認定証明書を受け取ります。
在留資格認定証明書を取得した方は、本国の日本大使館または総領事館に在留資格認定証明書を提示して査証の交付をしてもらい、日本に入国します。メールで在留資格認定証明書をもらった場合には、そのメールを日本大使館、総領事館に提示します。
在留資格認定証明書の交付申請をした人の在留カード交付
新規の上陸許可で日本に上陸する際に、下記の空港から日本に入国した場合には、空港で即日在留カードが交付されます。
- 成田空港
- 羽田空港
- 中部空港
- 関西空港
- 新千歳空港
- 広島空港
- 福岡空港
上記の空港以外からの入国の場合には、日本に入国してから住んでいる市区町村に「転入届」を提出してから1~2週間後に自宅宛てに郵送で届きます。
空港で在留カードが付与された場合でも、市区町村への転入届は必要となりますので、必ず市区町村で手続きを行ってください。
在留資格変更申請をした場合の流れ
留学ビザから技人国ビザへ資格変更申請をした場合などは、審査完了の通知(ハガキまたはメール)が来たら、それを持ち出入国管理局に出向き、新しい在留カードを受け取ります。
技人国ビザの審査が不許可だったら
もし不許可通知や不交付通知が届いてしまった場合には、再度申請をすることを検討すると思います。再度申請をする前に、今回の申請でなぜ許可が下りなかったのか原因を調べる必要があります。
不許可理由を出入国管理局に出向き聞くことができますが、この際にしっかりと確認していただきたい内容は、なぜ許可が下りなかったのか、書類に不備があったのか、不備を修正すれば許可が下りる見込みはあるかなど、詳細を確認します。
まず不許可になってしまった原因を突き止め、それを補完できる書類を準備してから再審査に挑みましょう。
当事務所では不許可になった理由を入管に聞きに行く際に同席するサービスもしておりますし、再申請にあたり書類作成、取次申請も行っております。ご不安な方はお気軽にご相談ください。