亡くなられた方がバイクを所有していた場合、バイクも相続財産に含まれます。バイクは原付(50cc)や軽二輪自動車、小型二輪など排気量別の種類がありますが、バイクの排気量によって手続き方法が変わりますのでご紹介します。
バイクの相続手続きの流れ
バイクは相続財産のため、遺産分割協議の対象となります。廃車にする場合や、売却する場合、または誰かが引き継いで乗っていく場合でも、まずは相続する人を決めてから相続人が廃車や名義変更、売却の手続きをしていく必要があります。
相続税の加算対象の財産でもありますから、車と同様に査定額を出してもらう必要があります。インターネットで査定額を調べる方法や買い取り業者に査定をしてもらう方法が一般的です。特に大型バイクといわれている車種は人気があって高額になりやすいので、しっかりと財産額を把握しておくと良いですね。
査定額が分かったら遺産分割協議を行い、誰が相続していくのかを決めます。相続する人が決まったらその方が売却や廃車、名義変更の手続きを行っていきます。
原付バイクの相続手続き
被相続人が所有しているバイクのナンバープレートを見るとバイクが登録されている市区町村が分かりますので、登録されている市区町村の役所に行き手続きを行います。
125cc以下の原付バイクの廃車手続きと必要書類
原付バイクの廃車手続きには下記の書類が必要となります。バイクのナンバープレートはドライバーで外せるのでご安心ください。
- 身分証明書
- 印鑑
- ナンバープレート
- 標識交付証明書
- 廃車申告書(役所で取得)
125cc以下の原付バイクの名義変更手続きと必要書類
まず上記の方法で廃車手続きを行います。その後相続人の名義に変更します。相続人が被相続人のバイク登録市区町村と同じ市区町村でバイクを所有する場合には、廃車手続きと同時に名義変更手続きを行うことができます。
別の市区町村の場合には下記の書類を役所に持参して手続きを行います。
- 廃車証明書
- 遺産分割協議書
- 身分証明書
- 印鑑
- 標識交付申請書(役所で取得)
125cc以下の原付バイクの売却手続き
売却する場合でも、いったん相続人の名義に変更する必要があります。買い取り業者にお願いすると手続きをすべて代行してくれることがほとんどなので、買い取り業者に任せるのが一般的です。
しかし個人間で売買する場合もあると思います。その場合、名義変更手続きを2回行う必要があり、少々手間がかかります。
まず相続人が廃車手続きを行い、相続人名義に変更をします。その後、相続人名義になったバイクの廃車手続きを行い、新所有者がバイクの廃車証明書と譲渡証明書をもって役所に名義変更手続きを行います。
このように2回同じことをする必要がありますので、相続手続きでは業者に売却するのが一般的になります。
バイク軽二輪車と小型二輪車の相続手続き
排気量が126cc以上のバイクの手続きは運輸支局(陸運局)で行います。ナンバープレートに記載の地域を管轄している運輸支局に出向き手続きを行います。軽自動車と同様に手続きを行っていきます。原付バイクと比べると、手軽に処分できないサイズのバイクになりますので、廃車や売却を検討しているのなら買い取り業者に依頼することをおすすめします。
126cc以上のバイクの名義変更と必要書類
相続人がバイクを引き継いで乗っていく場合には名義変更をする必要があります。また廃車にするなら廃車手続きが必要となります。必要書類は下記のとおりです。
- 被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本
- 相続人の住民票
- 軽自動車届出済証(126cc~250ccまでのバイク)
- 車検証(250cc以上のバイク)
- 自動車税/取得税申告書
- OCRシート
バイクも相続財産に含まれますので、しっかりと遺産分割協議をしましょう。
原付バイク以外のバイクの相続手続きは少し大変ですよね。他の相続手続きだけでも大変なので迷わず買い取り業者を使うのがおすすめです。
バイクの自賠責保険、任意保険の名義変更を忘れずに!
バイク自体の名義変更が終わるとホッとしてしまいがちですが、バイクも車もとても大切なのが保険です。自賠責保険のほかに任意保険に加入している場合には、損害保険会社に名義変更手続きを依頼します。
自賠責保険は強制保険ですから、必ず入らなくてはいけません。万が一の時に、相手方にしっかり保証を受けてもらうためにも、自分の身を守るためにも必ず加入が必要です。
自賠責保険の名義を変更しないまま、継続してバイクに乗り、万一事故が発生した場合でも、自賠責保険からは保険金が支払われますが、バイクの名義をする段階で自賠責保険の名義も変更しなくてはなりません。
「自賠責保険(共済)証明書」が自宅にあれば、証明書を発行している損害保険会社に名義変更したい旨を伝えます。もし自賠責保険証明書が見当たらない場合で、保険会社が分かっている場合には保険会社に連絡をして、必要となる書類を確認して手続きを行います。
バイクの相続手続きに遺産分割協議書は必要?
バイクの相続手続き上では遺産分割協議書の提出が必要となる場面はありません。しかし高額なバイクであったり、協議した内容を書類に書き留めておくという意味で遺産分割協議書に載せることがあります。
名義変更や廃車手続き自体では必要にならないことが多いので、遺産分割協議書内にバイクの記載をするか否かは相続人の判断で行っても問題ないと思われます。
バイクの遺産分割協議書の書き方(ひな形)
車やバイクの遺産分割協議書の一般的な書き方をご紹介します。他の財産がある場合には遺産分割協議書に預貯金や不動産などすべての財産とあわせて記載します。
遺産分割協議書 被相続人 :A 本籍地 :〇〇県〇〇市〇〇 最後の住所:〇〇県〇〇市〇〇 生年月日 :昭和4年4月25日 死亡年月日:令和4年10月1日死亡 被相続人Aの遺産相続につき、相続人全員で遺産分割協議を行った結果、次のとおり分割することに合意した。 1.相続財産のうち、次の自動車については、相続人■■が取得する。 車種 : 登録番号: 車体番号: 上記協議の成立を証するため、本協議書○通を作成し、各相続人が署名押印のうえそれぞれ1通ずつ所持する。
月乃行政書士事務所では、遺産分割協議書の作成サービスも行っております。詳細は下記の記事に記載がありますので、ご自分で遺産分割協議書を作るのが面倒な方や、専門家に依頼したい方はぜひご覧ください。