月乃行政書士事務所車の所有者がお亡くなりになった場合、車の相続手続きを忘れずに行う必要があります。また車はローンのあるなしに関わらず相続財産となります。車を誰かが受け継いで乗っていく場合や売却、廃車手続きするにしてもいったん相続人の名義に変更する必要があります。相続人名義に変更したのちに売却、廃車手続きをしていきます。
ローンの残債がある場合の相続手続きも解説していますのでご参考にしてください。
車の持ち主が亡くなったらまずは所有者を確認しよう
お亡くなりになった方が車を所有していた場合、まず所有者確認を行います。所有者は「自動車検査証（車検証）」に記載がありますので、車検証を確認してください。仮に車をローンで購入していてカーローンの完済がされていない場合には所有者名がディーラーやクレジット会社名になっています。また車をリースしていた場合にはリース会社の名義になっているはずです。
車のローンが残っている場合の相続手続き
ローンが完済されていない車に関しては、所有者が誰になっているかを確認します。銀行のカーローンの場合だと所有者名が被相続人になっている場合があります。
名義がクレジット会社やディーラーだった場合には、被相続人は車の所有権をもっていませんが、相続財産として計上する必要があります。残ったローンは負債として相続税の計算上控除します。相続人はローン完済する必要があり、誰が引き継いでローンを返済するかは遺産分割協議で決めるのが一般的です。ローンを完済したのちに車を引き継ぐと決めた人の名義に変更します。
ローン返済が残っている場合には所有者が死亡した旨をローンを組んでいる信販会社、ディーラー、銀行へ伝え残債の金額（債務額）を確認しましょう。また、車の査定額も出してもらう必要があるのでディーラや中古車買い取り業者に見積もりを出してもらいましょう。
カーリースの場合の相続手続き
車をリース契約で借りている場合には、相続手続きは必要ありません。カーリース会社へ連絡し、契約者が死亡したので解約したい旨を伝えます。
中途解約金や必要書類の提示があると思いますので、それに従い手続きを行い、車を返却します。
車の相続手続き
車の査定価格を出す
車は相続財産となりますので、相続税の申告対象となります。車の相続税評価額は売買実例価格を基準とする方法が一般的です。まずはディーラーや中古車買い取り業者に車の買取査定を依頼しましょう。査定を依頼する際に「査定証」を出してもらうようにお願いしてください。
遺産分割協議で車を受け継ぐ人を決める
車の査定額が分かったらローンがあるか否かも調べ、車を誰が受け継いでいくのかを遺産分割協議で決めます。遺産分割協議で車を相続する人が決まったら実際の手続きに移っていきます。遺言書で車の承継者に指定がない場合には、手続き上遺産分割協議書の提示が求められますので、遺産分割協議書を作成しましょう。
警察署で車庫証明書取得する
車の名義変更に必要となる書類の中に車庫証明書があります。被相続人と同居していた相続人がその車を引き続き使用する場合には車庫証明の取得は必要ありませんが、それ以外の相続人が引き継ぐ場合には車庫証明書を取得する必要があります。
また引き継ぐ人の住所と被相続人の住所を管轄する陸運局が異なる場合にはナンバープレートも変更する必要があります。
自動車の名義変更に必要な書類を陸運局に提出
名義変更をする際に必要となる書類は下記のとおりです。下記の書類一式を陸運局（運輸支局）に提出して名義変更手続きを行います。
- 申請書、手数料納付書、自動車納税申告書（名義変更当日に運輸支局でもらえます）
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 受け継ぐ人の実印
- 自動車検査証
- 車庫証明書
- 管轄運輸局が変わる場合にはナンバープレート（普通自動車の場合には封印してもらう必要があるのでナンバープレートを変更する車で手続きに行きましょう）
相続する車の査定額が100万円以下の場合は遺産分割協議書の代わりに「遺産分割協議成立申立書」で手続きをすることができます。この場合、相続人全員の印鑑証明書は必要なく、新所有者の印鑑証明書だけで手続きが可能です。また相続人全員の戸籍謄本も必要なく、被相続人と新所有者との関係が証明される戸籍の提出だけで済みます。
一般的に遺産分割協議書を作成して相続手続きをされる方が多いと思いますので、遺産分割協議書を作成している方は遺産分割協議書で手続きすることをおすすめします。その他にも相続で必要となる書類の一覧を下記の記事で紹介していますので、よろしければ参考にしてみてください。
名義変更が終わったら車の売却・廃車手続き
名義変更が終わったら車を売却する手続きや廃車の手続きが可能になります。遺産分割協議で決めた内容に従って売却や廃車手続きを行います。
売却した場合には、受け取った代金をどう分けるのかまで遺産分割協議で決めておく必要があります。また廃車するにあたっての費用も誰が負担するのかも決めておく必要があります。
遺産分割協議書の作成で迷ったら専門家に相談することをおすすめします。
