非課税枠で投資ができるNISA口座は大変人気ですよね!亡くなった方(被相続人)がNISA口座(少額投資非課税制度)を保有していることも多くなってきました。NISA口座の相続手続きについて分かりやすく解説していきます。
NISA口座は相続できる?引き続き運用できる?
お亡くなりになった方がNISA口座で運用していた場合、相続財産として相続することができますし、相続人の一般口座か特定口座で引き続き運用をすることができます。しかしお亡くなりになった方(被相続人)のNISA口座から相続人のNISA口座へ移すことはできません。通常の課税枠での運用しかできないということになります。加えて被相続人がNISA口座を保有していた金融機関と移管先の一般口座か特定口座は同じ金融機関でないと移管できません。つまり亡くなった方のNISA口座が三菱UFJ銀行だった場合には、相続人も三菱UFJ銀行で一般口座か特定口座を開設する必要があるということです。
NISAは遺産に含まれる!相続税評価額の計算方法は?
NISAは遺産に含まれますので、遺産分割協議の対象となりますし、相続税の課税対象となります。相続税の評価額の計算方法は通常の上場株式と同様に下記の4つの時点の価格の中で最も低い金額を設定することができます。
・相続発生日(亡くなった日)の終値
・相続発生日の属する月の毎日の終値の月平均額
・相続発生日の属する月の前月の毎日の終値の月平均額
・相続発生日の属する月の前々月の毎日の終値の月平均額
例えば2022年5月17日にお亡くなりになった場合は次の通りとなります。
・2022年5月17日の終値
・2022年5月の終値の月平均額
・2022年6月の終値の月平均額
・2022年7月の終値の月平均額
亡くなった日の終値か、過去3か月の終値月平均額から最も低い価格を選べるということですね。この評価額の算出方法は課税対象の株(一般口座または特別口座で保有している株)と同じです。
NISAの相続手続きの流れ
NISA口座は非課税ですが、相続が発生した時点で課税口座への払い出し扱いとなります。NISA口座の残高が特定口座または一般口座に移されるということですね。被相続人が存命中は非課税扱いですが、亡くなってしまった段階で非課税枠は使えなくなるということです。
実際の相続手続きの流れは下記のとおりです。株式の相続と同様の流れになります。まずは金融機関へ口座保有者が亡くなった旨を伝え、必要書類を集める。残高証明書を取得し、保有財産の洗い出しを行ったのち、相続人で分割する方法を決定し、遺産分割協議書にまとめる。という流れです。なお遺言書があった場合には遺産分割協議は行わず遺言に記されたとおりに分割を行います。
- 金融機関へ被相続人が死亡した旨を伝え必要書類を取り寄せる
- 戸籍謄本など手続きに必要となる書類を集める
- 残高証明書、未払配当金明細書を金融機関へ請求する
- 遺産分割協議を行い、分割方法を決定する
- 遺産分割協議書を作成する(遺言書がない場合のみ。遺産分割協議書は絶対必要ではありませんが作成をおすすめしております)
- 被相続人のNISA口座と同じ金融機関で相続人の特定口座または一般口座を開設する
- 金融機関へ名義変更の依頼をする
- 相続人の口座に財産が移管される(約2,3週間)
NISA口座の相続手続きに必要となる書類
一般的にNISA口座の相続手続きに必要となる書類を下記に挙げますのでご参考にしてください。金融機関または相続人の状況に応じて必要となる書類に変動がある場合がありますので、金融機関の指示に従って書類を集めてください。
- 被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本類
- 相続人全員の戸籍謄本類
- 非課税口座開設者死亡届(金融機関から入手)
- 遺言書または遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 株式等(相続)移管依頼書(金融機関から入手)
NISAは節税対策でとても有効な資産運用方法なので、活用されている方は多くいらっしゃると思います。しかし相続手続き自体は人生に数回しか経験しないことなので分からないことも多くあると思います。もし相続手続きで迷うことなどがあればお気軽に月乃行政書士事務所までお問い合わせください。