令和2年7月から新たに始まったサービスで、直筆証書遺言を法務局で保管してくれるサービスです。

直筆証書遺言はお金がかからず最も手軽に遺言を残せる手段ですが、直筆証書遺言は自分で保管する必要があり、相続人が遺言書の存在を知らない場合には、遺言書が発見されなかったり、紛失してしまったり、改ざんされるおそれなど、いろいろな課題がありました。そんな問題点を払しょくするために開始されたのが直筆証書遺言書保管制度です。

直筆証書遺言書保管制度の特色

遺言書原本を法務局で長期的に保管してくれるので、改ざんや紛失の危険性がありません
また料金もお安く、遺言書1通につき3900円です。3900円で50年から150年間保管してくれるので本当に良心的なサービスです!

しかも地域の戸籍担当部局と連携しているため、遺言者の死亡を確認した場合にあらかじめ指定した方に遺言書が保管されている旨を通知してくれるサービスもあります。
遺言書が発見されずに相続が開始するというトラブルも避けることができますね。

また、直筆証書遺言所保管制度を利用した場合、家庭裁判所での検認作業が必要ありません
通常、直筆証書遺言は開封する前に家庭裁判所で検認をしてもらう必要があります。相続人にとってはとても手間となる作業ですが、保管制度を利用した遺言書は検認が必要ないのです。遺言書を保管依頼する際に法務局で直筆証書遺言として外形的に適合するか否かを見てくれるので検認の必要がないのです。

これはとても大きなメリットですね!実際の相続手続きには法務局で発行してもらう「遺言書情報証明書」が遺言書の代わりとなるので、この証明書を使って銀行や不動産などの手続きをしていきます。

ただ遺言書本文が法的に有効か否かの判断はしてくれません。あくまでも遺言書の形式が民法に定める形式に適合しているかのチェックとなります。なので確実に法的に有効な遺言書を作成したいのであれば公正証書遺言が一番適しています。

ですが、あまりお金をかけないで遺言書を作成したいという方にはこの直筆証書遺言所保管制度を利用することをおすすめします。とても安価で遺言書のトラブルをカバーしてくれる制度なのでおすすめです!

直筆証書遺言書保管制度の利用方法

  1. 直筆証書遺言を書きます

    書く際には遺言書の様式が決まっていますので、法務省のホームページで確認しましょう。遺言書に書く内容は専門家に相談することを法務省もおすすめしておりますので、書き方が分からない、有効な遺言書を書きたいというときにはぜひ当事務所へご相談ください。

  2. 遺言書を保管してもらう法務局を決めます

    遺言者の住所地、本籍地、所有する不動産の所在地のいずれかを管轄する遺言保管所から選ぶことができます。

  3. 遺言保管所に予約をする

    事前予約が必須となりますので、電話またはホームページから予約をします。

  4. 必要書類を準備する

    必要な書類は下記4つです。予約時に必要書類のお知らせがあればそれに従います。

    ・遺言書 ホチキスで止めたりせず、封筒にも入れずそのままでもっていきます。
    ・保管申請書 法務局のホームページからダウンロード可能
    ・遺言者の本籍と筆頭者の記載がある住民票の写し
    ・顔写真付きの身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)

  5. 来局して手続き

    保管証を受け取ったら完了です。

作成したあとでも、遺言書の閲覧や撤回をすることも可能です!
遺言者にとっても相続人にとっても優しいサービスです。
すごく便利なサービスなので遺言書を書こうと思っている方は利用してみてはいかがですか?